ST600にステップアップして1年目で、初優勝を果たす


MFJ全日本ロードレース選手権シリーズ最終戦
第50回 MFJグランプリ スーパーバイクレース in 鈴鹿
開催日程:2018年11月3日(土)公式予選/11月4日(日)決勝

今シーズンからST600にステップアップした佐野優人。第8戦終了時点でシリーズランキング8位となっているが、今回はチームの地元、そして走り慣れた鈴鹿でのレースとあって、レースウィーク初日から好タイムを記録。今シーズンのベストリザルトは第7戦オートポリスでの7位となっているが、これを上回るリザルトに期待が高まった。

ST600 #97 佐野 優人
公式予選:2位
決勝レース:1位

ST600公式予選
木曜日からの練習走行から好タイムをマークしていた佐野優人。2日間の総合結果ではトップタイムを記録した小山知良選手に次ぐ2番手タイムを記録していたため、公式予選でも上位に入ることが期待された。その公式予選はドライコンディションでスタートし、佐野優人は3周目に2分13秒317をマークしてリーダーボードトップに立つ。しかし、その直後に小山選手が2分12秒983でトップタイムとなり、佐野優人は2番手となる。
公式予選終盤になると各ライダーが再びタイムアタックを行い、佐野優人も幾度となくタイムアタックを行うも、自らのタイムを更新することができない。小山選手をはじめとする予選上位のライダーも大幅なタイム更新はなく、佐野優人は2分13秒317で公式予選2位となった。

ST600公式予選後のコメント
「ポールポジションを狙っていましたが、タイムアタック中に他車に引っかかってしまい納得のいくタイムは出せませんでした。ただ、予選中もタイヤが消耗してからでも、それなりのタイムで周回はできていたので、決勝に向けてはいい感触を得ることができました。決勝は積極的に前に出てレースをリードしたいですね」(佐野優人)

※ST600決勝
決勝当日、朝から雨が降りフリー走行もウエット路面での走行となるが、このフリー走行で佐野優人は2分24秒659で2番手タイムを記録。路面コンディションは大きく変わった中でも、佐野優人の好調な走りは決勝へ期待を抱かせた。
そして迎えた決勝レース。ST600の決勝はウエット宣言が出され、周回数は12周から10周へと変更された。スタート直後の1コーナーは4番手だった佐野優人だったが、S字コーナーまでに岡本裕生選手と南本宗一郎選手、そしてヘヤピンカーブでトップの小山知良選手を抜いてトップに立つ。レース序盤から2番手以降を引き離すかのような勢いを見せる佐野優人だったが、2周目の日立オートモティブシステムズシケインのブレーキングでアウトにはらんでしまい、3周目の1コーナーまでに南本選手と岡本選手に先行されてしまう。しかし、この日の佐野優人の勢いはすさまじく、ストレートではマシンのスピードが勝る南本選手や岡本選手に抜かれても、S字コーナーやヘヤピンカーブ、スプーンカーブで佐野優人が抜き返し、ウエット路面とは思えない気迫のこもったレースを展開する。
レース中盤からは、岡本選手、國峰啄磨選手、そして小山選手とのトップ争いとなるが、6周目に國峰選手と小山選手がデグナーカーブでオーバーランしトップ争いから脱落。レースは岡本選手と佐野優人の一騎打ちとなる。いったんは佐野優人がトップに立ち岡本選手を引き離すかに思われたが、岡本選手も執拗に佐野優人を追走し、最終ラップは岡本選手、佐野優人の順で突入する。S字コーナーは岡本選手が佐野優人を抑えるが、逆バンクからダンロップコーナーへのアプローチで佐野優人が岡本選手のインを突いてパス。佐野優人はそのまま岡本選手を抑えきってトップでチェッカーを受け、全日本初優勝を果たす。なお、この勝利により、シリーズランキングは5位にジャンプアップしてシーズンを終えた。

※ST600レース後のコメント
「レースウィークに入る前から、チームの地元でもある鈴鹿では優勝したいと思っていました。レース直前はすごく緊張していましたが、レース中は落ち着いていたつもりでした。ただ、周回数を全く見ていなくて、気が付いた時には残り2周になっていましたが、その時も岡本選手にはストレートでは前に出られてしまうので、スプーンカーブで引き離してバックストレートで追いつかれても最後のシケインでのブレーキングで勝負できればと考えていました。狙い通りのレース展開となり、全日本初表彰台が初優勝になりうれしいです。
シーズンを通してやっとST600のマシンを理解できてきたと思いますし、こういった形でシーズンを終えることができて良かったです」(佐野優人)