2009年7月28日
ROCKST★R×BATTLE&I LOVE Cafe 鈴鹿8時間耐久ロードレース
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雨が断続的に降る難コンディションの中
トラブル発生もチーム力を生かして25位完走

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2009年鈴鹿8時間耐久ロードレース
7月26日(日) 三重県・鈴鹿サーキット(フルコース:5821m)
天気 予選日:曇りのち晴れ/決勝日:曇り時々雨
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チーム名 ROCKST★R×BATTLE&I LOVE Cafe
ゼッケン36 第1ライダー桐井有希/第2ライダー下地申悟
レース結果 EWCクラス 予選27位(2分14秒497) 決勝25位(周回数169)

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 バトルファクトリーは地元鈴鹿サーキットで行われる日本最大のロードレース、鈴鹿8時間耐久ロードレースに挑戦した。今年はエネルギードリンクのROCKST★RやI LOVE Cafeという異業種のビッグネームに、ダンロップなど各テクニカルスポンサーからの強力なサポートを得て、ともに過酷な8時間を戦う。参戦ライダーは、バトルファクトリーの全日本JSB1000エースである桐井有希に、2年前にもバトルファクトリーから8耐に参戦した下地申悟。この2人で8耐の前哨戦である鈴鹿300km耐久ロードレースにも参戦しており、そのコンビネーションの良さは証明済みだ。
 300kmレース後、チームでは8耐に向けた事前テストを行った。ところが桐井は全日本のレースで数回転倒した影響もあって腰を痛め、大事をとって事前テストをキャンセルした。事前テストでは下地とチームがマシンを仕上げ、そのマシンに桐井がレースウィークに合わせるという戦略をとった。
 そして迎えたレースウィーク。この週末は天気が荒れる予報が出ており、状況へ臨機応変に対応できるチーム戦略が非常に重要になる。もちろん長年、レースに取り組んできたバトルファクトリーにはノウハウがあり、しかも地元であることは天候への対処という点で非常に有利と言える。
 走行は木曜から始まり、この日は特別スポーツ走行と公式フリー走行というスケジュールだ。最初のスポーツ走行はドライの条件下で行われたが、不安定な天気により次のスポーツ走行はウェットとなった。この日は下地がセッティングしたマシンに桐井がどこまで適応できるかが大きな課題で、桐井はマシン習熟のため走り込んだ。もちろん自分に合わせたセットではないため若干の違和感はあったが、そこはライダーがアジャストするしかない。また下地はテスト時よりマシンの感触が良くなっていることを確認した。
 金曜は心配された雨はなく、曇り空に時折晴れ間が覗く蒸し暑い1日となった。各ライダーはそれぞれ2本ずつの公式予選に挑み、午前中の走行は桐井が2分15秒953、下地は2分14秒497と、2人ともまずまずのタイムをマークした。ところが午後の走行で問題は発生する。桐井が走り出してすぐマシンにガス欠症状が発生し、インジェクションの異常を示すメーター内のインジケーターランプが点灯したのだ。桐井はピットインして調整を行ったが、すぐにトラブルを解消することはできなかった。走行時間には限りがあるため桐井はそのままコースに戻り、十分なアタックはできなかったものの2分15秒141とタイムアップに成功した。桐井の走行後、チームは全力でマシントラブル解決に当たった。しかし想像以上に時間がかかり、下地は2本目の走行を見合わせることになった。予選順位は下地の1回目に出したタイムが有効となり、27番手となった。8耐は長丁場の耐久レースで、スタート方式も通常のスプリントとは異なるルマン式ということを考えれば、27番グリッドは上位入賞が十分に可能な位置だ。問題なのはマシントラブルの方で、部分的な調整では問題解決に至らず、永友正チーム代表は電気系統の総交換を決断。なお予選後に行われたナイトセッションはTカーで出走した。そしてスタッフの尽力が実り、マシンを完全に修復することができたのは、時計の針が深夜12時を回ってからだった。
 土曜はフリー走行が予定されていたが、走行時間はあいにく雨だった。しかし決勝日は天気の悪化が予想されたため、ウェット時の練習を兼ねて精力的にマシンを走らせた。また、この走行で前日のトラブルが解消していることを確認した。そして走行終了後にピット前でピットワークの練習を行い、各スタッフは役割分担を確認しながら素早くタイヤ交換、燃料補給をこなした。またチームでは土曜までの状況から判断し、決勝のスタートライダーを下地とすることを決定した。
 明けて日曜日、いよいよ決戦の日を迎えた。午前中は晴れていたが、午後は高い確率で雨が降ると予報されており、チームでは雨に対する準備を怠らなかった。そして午前11時半、伝統のルマン式スタートにより8時間のレースがスタートした。ところが、ここで思わぬ落とし穴に引っかかる。下地がマシンに駆け寄ってスタータースイッチを押したが、エンジンがかからないのだ。原因はあらかじめメインスイッチをオンにしておくのを忘れたというケアレスミスだった。すぐにスイッチをオンにして走り出したが、1コーナー進入時にほぼ最後尾まで落ちてしまった。しかし、元々後方を走っているライダーとはタイムが違う。ここからの追い上げは目覚しく、下地は前を行くライダーを蹴散らしながら周回ごとにポジションを上げていく。そして19位まで挽回して桐井にマシンを渡した。
 桐井も元気よくピットを離れていったが、今度はマシンにトラブルが発生する。1周目を終えたホームストレートでマシンが失速。ピットロード出口付近で止まってしまったのだ。ただ、ここでマシンが止まったのは不幸中の幸いで、桐井はピットロード出口からマシンを押しながらピットに戻ることができた。
 チームはマシンの症状から、その原因が燃料系にあると判断。燃料タンクを交換することでマシン修復に成功した。これで再び桐井をコースへと送り出したが、マシンストップからコース復帰までに実に30分近くを要し、再び最後方からの追い上げをすることになった。
 その後、マシンは快調に戻ったが、ここからは不安定な天気との戦いになった。雨が降り出したと思えば、しばらくすると止み、折からの暑さによって路面がすぐ乾くということが繰り返し起こり、路面コンディションはドライ~ウェット~ハーフウェットとめまぐるしく変わった。マシン修復後、桐井は雨の中をレインタイヤで出走したが、すぐに止んで路面が乾き、ぼろぼろになったタイヤでペースを抑えながらの走行を強いられた。また次の下地の走行では雨の中でレインタイヤを装着してピットを離れたが、すぐに雨が止んで路面が乾き、予定外のピットインをしてタイヤをスリックに変更した。コース上では転倒者が相次ぎ、ピットのほうもドタバタの状態だったが、チームは素早く確実なピットワークでライダーをコースへと送り出した。それに応えてライダー2人も難しい状況の中、確実にポジションを上げていった。
 そしてチームは残り時間を考え、下地の最後の走行時に1時間半を超えるロングランを指示。ラストは桐井が担当して合計169周を走り切り、25位でレースフィニッシュ! チームが一丸となったことで、セーフティカーが4回入る大波乱のレースで完走を果たすことができたのだ。同時に鈴鹿に本拠を置く純プライベーターの中でトップの成績を残すこともできた。
「序盤に出遅れたことが痛かったです。あれがなければ、もっと上位で完走することができたと思います。でも2年前は2時間で終わってしまって、とても悔しかったことを考えれば今回の成績は嬉しいです。レースウィークは天気がころころ変わってとても難しい状況でしたが、スタッフの方がとてもよくチームを回してくれました。そのおかげで完走することができたのだと思います」と下地は言う。桐井は「最後のセッションを走らせてもらって、チェッカーを受けることができたのは感動しました。チーム、スポンサー、鈴鹿で応援してくれた観客のみなさんにお礼を言いたいです。8時間走ったことで得るものもありましたし、これを今後の全日本に生かしたいと思います」と8耐初完走の感想を述べた。
 みなさまのご支援を受けまして、バトルファクトリーでは鈴鹿8耐を完走で終えることができました。今後もチームは一丸となって全日本後半戦を戦ってまいります。


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